犬に多い外耳炎の原因や症状とその治療法

犬の外耳炎の原因と治療法

愛犬がやたらと耳を痒がる、頻繁に耳を掻いている。

犬が後ろ足を使って耳を掻くという動作は見慣れた光景であり、特に気にも留めない人も多いのではないでしょうか? しかしそれがあまりにも頻繁であるようなら外耳炎を疑った方がいいかもしれません。

愛犬の耳の中を覗いてみてください。やたらと赤かったり発疹ができていたりしませんか? もしそうであるなら何かしらの対策や対処が必要に。

犬にとって非常にポピュラーな病気のひとつ外耳炎の症状や原因、そして治療法や対処法はどういったものなのか?

    目次
  1. 外耳炎ってどんな病気?
  2. 犬の外耳炎の原因
  3. 外耳炎の症状とは?
  4. 犬の外耳炎の治療法
  5. 外耳炎になりやすい犬種
  6. 外耳炎を予防するには?
  7. 犬がかかる外耳炎のまとめ

外耳炎ってどんな病気?

外耳炎の詳しい原因や症状などを見ていく前に、まずは犬の外耳炎について簡単に解説しておきます。

犬の外耳炎は人間のそれと同じく耳の穴に炎症が起きる病気。ただ「耳の穴」といっても耳の内側の耳介も含んでおり、耳介から鼓膜までにできる炎症のことを外耳炎と呼びます。

犬の外耳炎

たかだか耳の中の炎症。点耳薬でも使えば治るだろう…と侮るなかれ。犬の外耳炎は悪化すると耳道が塞がってしまったり膿んでしまったりして、最悪の場合外科手術が必要になることもあるのです。

初期の段階で治療を行えば簡単に対処で改善する一方、放置するとどんどん悪化することも。犬が耳を気にしている仕草を見せている場合、耳の中を確認し異常が見つかればすぐに動物病院に連れていきたいところです。

犬の外耳炎の原因

外耳炎というのは耳介から外耳道にかけて起こる炎症の総称であるため、その原因は様々。別の病気が原因で起こる耳の炎症も外耳炎と呼ぶのです。

外耳炎の主な原因を挙げると…

  • アトピー性皮膚炎
  • アレルギー
  • ダニ
  • 分泌腺の疾患
  • 細菌
  • マラセチア皮膚炎

外耳炎の原因としてまず挙げられるのは何らかの皮膚疾患。アトピー性皮膚炎やアレルギー、マラセチア菌による皮膚炎を持っている犬の大半は外耳炎を併発しているというデータが存在します。

外耳道は非常にデリケートな部位であるため、何らかの皮膚疾患を患っている場合影響を受けやすいのです。

良かれと思ってやった耳掃除が裏目に

愛犬の耳の中を見てみたら耳垢があったので綿棒で掃除した…そんな経験をお持ちの飼い主さんもいらっしゃるのはないでしょうか?しかしそれが外耳炎の原因になることも。

耳介や外耳道の入り口付近を綿棒で軽く拭く程度の掃除をたまに行うのであれば問題が発生することはほとんどありません。しかし頻繁に耳掃除をしたり、穴の奥まで綿棒などを突っ込むのは危険なのです。

他人の耳掃除をしたことがある人なら、外耳道を耳かきでちょっと触れただけで痛がられてしまったり皮膚が赤くなったり、血が滲んでしまったりといった経験をお持ちではないでしょうか?

外耳道は非常にデリケートでちょっとした刺激でも痛みや傷が発生します。それは奥に行けば行くほど顕著に。そうやって傷つけられた場所が外耳炎になってしまうことも。それは一見柔らかそうな綿棒でも同様です。

ましてや犬は耳掃除をしている最中に動いてしまうことも珍しくありません。どんなに慎重に耳掃除を行っても傷つけてしまう恐れがあるのです。また綿棒を入れることで耳垢をより奥に押し込んでしまう結果にも。

「耳の中が汚れているから掃除をしたい」と思うのは飼い主の愛情でしょう。しかし間違った方法は外耳炎のリスクを高めてしまうことも忘れないでください。

飼い主自らによる耳の奥の掃除は厳禁です。

外耳炎の症状とは?

犬の外耳炎の症状

多くの犬が発症する外耳炎ですが放っておくと非常に厄介な状況になる場合もある侮れない疾患です。その兆候をいち早くつかむためにも外耳炎によってどういった症状が出るのか知っておく必要があります。

外耳炎の主な症状は以下のようになっています。

  • 痒み
  • 耳からの悪臭
  • 耳だれ
  • 耳の中の赤み
  • 炎症
  • 黒っぽい耳垢

犬の行動によって判別できる点として挙げられるのは痒みを訴えること。耳付近を掻いたり壁などに擦り付けたり、頭を頻繁に振ったりといった行動が多くなります。体型などにより足が耳まで届かない場合は首を掻くことも。

耳の中の色や炎症の有無も確認しておきましょう。犬の耳介や外耳道や薄いピンク色をしていますが、外耳炎になると外耳道に向かって徐々に赤みが増してくる場合が多く、炎症がはっきりと見られることもあります。

また、健康な状態では見られない黒っぽい耳垢が確認できたり、匂いを嗅いでみて悪臭がしたりする場合は外耳炎を疑った方がいいでしょう。

愛犬の行動を注意深く観察する、定期的に耳の中を確認する等の行動を心がけることが外耳炎の早期発見に繋がります。

犬の外耳炎の治療法

犬の外耳炎の治療法

犬が外耳炎になってしまった際の治療は基本的に点耳薬を使用します。

あらかじめ耳の中に洗浄液を数滴たらし、揉み込むように軽く耳をマッサージ。それが終わると犬は頭を振って耳垢もろとも洗浄薬を外に排出。そうして洗浄した後に点耳薬を耳の中にさします。

。軽度な外耳炎であればこれを1~2週間続けることで改善に向かいますが、症状が重い場合は抗生物質を内服薬や注射などで投与。治療期間も長引く傾向に。

一方、ダニを原因とする外耳炎の場合は駆虫薬を使用します。

アトピー性皮膚炎やマラセチア皮膚炎を原因とする場合は、並行してそれらの治療も行わないと外耳炎が再発する可能性が高くなるでしょう。原因となるものを取り除かないと外耳炎は何度でも再発するのです。

あまりにも症状が重い場合は耳道を切開したり切り取ったりする外科手術が必要になるケースも。そのため早期治療がなにより重要になります。

外耳炎になりやすい犬種

外耳炎になりやすい犬種

どんな犬でも外耳炎になる可能性がありますが、特になりやすい犬種というものが存在します。

耳が垂れている犬種

犬には大きく分けて立ち耳と垂れ耳の犬が存在します。そして外耳炎になりやすいのは垂れ耳の犬。理由は耳が垂れていると耳の穴をふさぐような形になり通気性が悪くなるから。

耳が塞がれた状態では高温多湿になりやすく細菌が繁殖しがち。炎症を起こしたり悪化したりしやすくなってしまうのです。

代表的な犬種はトイ・プードルやミニチュア・ダックスフンド、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバ、シー・ズーなど。

皮膚が弱い犬種

皮膚が弱い犬種も要注意です。

外耳炎はアトピー性皮膚炎やアレルギー、マラセチア皮膚炎などの皮膚疾患を持っていると高確率で併発するため、これらに罹りやすい犬種というのはおのずと外耳炎のリスクも高くなってしまいます。

典型的なのはフレンチ・ブルドッグやパグ、シー・ズーなど鼻が潰れた短頭種。またレトリーバー系や柴犬もアトピー性皮膚炎にになりやすい犬種といえます。

最も注意すべきは垂れ耳と皮膚疾患のなりやすさを併せ持つ犬種。パグやシー・ズー、レトリーバー系がそれにあたります。これらの犬種を飼っている人は特に愛犬の耳の状態に気を配るようにしてください。

外耳炎を予防するには?

外耳炎を予防するためのキーワードは「清潔」と「通気性」です。

耳を綺麗にしておくことで炎症を抑制し通気性も確保できます。その主な方法はイヤークリーナーを使用すること。イヤークリーナーをさし愛犬がブルブルっと顔を振って排出させたのを確認したうえで耳介から外耳道の入り口を柔らかい布などで優しく拭き取ります。

ただし、過度な掃除や洗浄薬の使用は厳禁。頻繁な掃除はかえって耳の中の環境を悪化させてしまうため1~2週間に1度くらいの頻度で十分です。

原因疾患の治療

アトピー性皮膚炎やアレルギー、マラセチア皮膚炎を発症している犬は外耳炎も併発する可能性が高くなります。これらの皮膚疾患は外耳炎の原因になるのです。

アトピー性皮膚炎などの治療を行わなず外耳炎の治療のみを行っても再発や慢性化することが多いため、何らかの全身皮膚疾患を発症している場合は外耳炎と皮膚疾患の治療を並行して行うようにしてください。

垂れ耳の犬は耳毛の処理も

ラブラドール・レトリーバーやトイ・プードル、シーズー、ビーグルなど垂れ耳の犬は通気性が悪く外耳炎になりやすい犬種です。特に耳毛が生える犬種はこれを抜いたり切ったりすることで通気性が確保できます。

ただし、耳毛は外部から埃などの侵入を防ぐ役割があり耳毛の処理に対する意見は賛否両論。このあたりの判断は行きつけの獣医師やトリマーの意見を参考にした方がいいでしょう。

犬がかかる外耳炎のまとめ

軽度であれば治癒は決して難しくはない外耳炎。しかし放置してしまうと治療に時間を要するようになり最悪の場合は手術が必要になることも。そうなればそれなりの出費を覚悟する必要があります。

そうならないためにも愛犬の状態には常に気を配りたいところ。

特に垂れ耳の犬種は要注意。耳が耳道を塞ぐ形になるため通気性が悪く外耳炎になりやすいばかりか、飼い主としても耳をめくらないと状態を確認することができないため発見が遅れがち。

トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンド、シーズーなど人気の犬種には垂れ耳も多くなっています。これらの犬種を飼っている場合は定期的に耳の中を確認、洗浄するようにしましょう。

早期に発見し愛犬の苦痛を最小限に食い止めたいところです。

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