犬と飼い主が一緒に寝るのはダメ?問題ない?

犬と飼い主が一緒に寝ていいの?

犬と飼い主や一緒に寝ていいのか?この疑問は賛否入り乱れており、いまだに結論が出ない問題でもあります。現在ここを見ている人も少なからず疑問に感じているのではないでしょうか。

傾向としてはドッグトレーナーなど犬の専門家は否定派、愛犬家は肯定派が多くなっている印象。しつけや主従関係を重んじる人は一緒に寝るべきではないと考えるようです。

とはいえすでに愛犬と一緒に寝るのが当たり前になっている人も多いと思われ、やめさせるのは忍びないし寂しい…

本当に犬と飼い主は一緒に寝るべきではないのか?現在一緒に寝ている場合でもやめさせた方がいいのか?気になる愛犬と飼い主が一緒に寝る問題について、愛犬家と専門家の意見を取り入れ結論を出していきましょう。

犬と人間が一緒に寝てはいけないとされる理由

そもそもなぜ犬と飼い主は一緒に寝るべきではないという意見が多いのか?その理由は主従関係と犬の自立にあります。

主従関係の崩壊

犬というのは基本的に群れを成して行動する動物ですが、その群れのリーダーとその他の犬が一緒に寝るということは基本的にありません。

リーダーは自分が好きな場所に寝て、他の犬はそこから少し離れた場所に寝る…それが正しい主従関係のありかたと認識しているからです。そう、同じ寝床を共有するということは立場も同じだという認識なのです。

つまり、飼い主と犬が同じ布団で身を寄せ合って寝るという行為は、本来あるべき主従関係の崩壊を意味している…というのが専門家の見方。

人間の社会でも社長室が個別に存在していたり上座、下座という考え方があったりしますよね。それと似たようなものでしょうか。

犬に飼い主を同列だと勘違いさせないためにも、同じ布団に寝るという行為は避けたほうがいいというのは確かに説得力があります。

自立できない

飼い主が出かけたり庭に出たりすると犬がやたらと吠えたり悲しんだりする光景を目にしたことはありませんか?それは犬が自立しておらず飼い主に極端に依存している可能性があります。

普段から犬と飼い主がべったりしていると、犬はそれが当たり前という感覚に陥り、いざ飼い主がいなくなってしまうと不安になり激しい反応を見せてしまうのです。

例えば人間の親と子供を思い浮かべてください。産まれて間もない子供というのは母親と接触している時間が長いものですが、成長と共に親から離れるのが自然ですよね。

人間の場合は「ある程度の歳になったら自立しなければいけない」「親と一緒にいるのは恥ずかしい」といった観念が存在するため、ある程度の年齢になると徐々に自立していくのが一般的。

しかし犬にそういった観念はなく、また知能的には人間の2、3歳程度ということもあり、飼い主が意識的に自立を促さなければ犬は人間に依存する一方です。

人間が1日に寝る時間はおよそ6~8時間。その時間を犬と共に過ごすかどうかは犬の自立に大きく関わってくるのは想像に難くありません。当然、一緒に寝ていれば犬は「飼い主と一緒にいるのが当たり前」と認識することでしょう。

そんな犬を残して旅行に行ったりペットホテルに預けたりすれば、犬のストレスは計り知れないものになります。そういった点において犬をある程度自立させておくべきというのは親心といえるのかもしれません。

犬が寝る位置は関係ない

犬が寝る位置は関係ない

ネットなどで犬と飼い主が一緒に寝ることについて調べてみると、犬が寝る位置によって関係性や立場が分かってくる…なんて標榜しているサイトを目にします。

犬が足元で寝ていれば飼い主を信頼しているとか、頭付近で寝ている場合は飼い主より自分を上だと思っているだとか…はっきり言ってこの説は何の根拠もありません。

なぜなら犬は移動しながら寝るから。

私自身長年にわたって犬と一緒に寝ていたこともあるため、犬がどの位置で寝るかはよく把握しています。そして同じ犬でも日によって、もしくは気温や気分によって寝る位置は大きく変わることを確認しています。

寒い季節はまず股や腋など人間に囲まれている場所で寝て、体が温まってきたら布団から出て足元に寝てみたり枕の端っこで寝てみたり…人間が寝返りをうつのと同様に、犬が同じ位置で寝続けることはまずありません。

にもかかわらず「足元で寝ると信頼の証」「頭付近で寝ていると舐められている」という説がある。正直「何を言ってるんだ?」という印象しかない。

飼い主を舐めがちな犬でも足元に寝る場合もありますし、従順な犬でも枕の感触が好きで飼い主の頭に寄り添うように寝ることがあります。

専門家が語る「一緒に寝ると主従関係が成り立たない」という意見は一定の説得力があるものの、犬が寝る位置によって飼い主との関係性が分かるという説は信用するに値しません。

こういった説を鵜呑みにし愛犬を色眼鏡で見るようなことがないよう願います。

犬と飼い主が一緒に寝るリスク

犬と飼い主が一緒に寝ることは主従関係うんぬん以前に別のリスクが存在します。

それは前述した犬の自立心が育たないこともそうですが、何より衛生面に問題がある点は覚悟しておく必要があるでしょう。

犬回虫症

犬は人間と違い糞をした後に肛門を拭くことはできません。そのため同じ布団に寝ていると肛門に付着した糞が布団に付いてしまうこともあるでしょう。

そうなると怖いのが犬回虫症への感染。

犬の糞に回虫の卵が存在する場合、それが何らかの理由により人間の口に入ることで犬回虫に感染する可能性があります。特に体力がない高齢者や幼児の場合、内臓や目、神経などに移行し充当な症状を引き起こすリスクも。

回虫の卵は糞のみならず犬の毛に付着していることも。同じ布団で寝るということは犬回虫症の感染リスクを高めることになります。

ノミ・マダニ

散歩などで犬を外に連れ出せばノミやマダニが付着する可能性があります。そして犬にこれらの虫が付着した状態で一緒に寝ることで人間がノミ・マダニに噛まれる可能性が出てきます。

中でも怖いのはマダニ。

マダニは様々な病気を媒介することで知られており、マダニを介し人間がライム病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症することも。特にSFTSは致死率約30%という恐ろしい病気です。

「フロントラインなどのノミ・ダニ駆除薬を使用しているから大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、それは間違い。なぜなら新たに寄生したマダニが薬の効果によって死ぬまでに最長48時間かかるからです。

夕方に散歩した際に付着したノミやダニがその夜に布団に移行すれば生き残る可能性は極めて高いと見るべきでしょう。

犬と一緒に寝るということはこういったリスクもあることを覚えておきましょう。

犬との関係は十人十色

犬との関係は十人十色

ここまで書いてきたことを見ると、私自身は「一緒に寝ないほうがいい」と考えているように感じるかもしれません。しかしそれは違います。なぜなら私自身今でも犬と一緒に寝ているから。

犬と飼い主が一緒に寝ることで主従関係が弱まる可能性について完全に否定するつもりはありません。飼い主(リーダー)は布団、犬はそれ以外の場所に寝たほうが主従関係としてはしっくりきますしね。

また、犬と一緒に寝ることによって自律が促されない、マダニや感染症など衛生面に関する問題があるのも間違いないでしょう。それは重々承知しています。

そのうえで私は犬と一緒に寝ているのです

考えてみてください。ドッグトレーナーなどはやたらと主従関係に固執しますが、人間と犬の関係って確固たる主従関係がなければ成り立たないのでしょうか?犬をガチガチに管理することが正義なのでしょうか?

私自身はそこまでのものは求めていません。

愛犬が周囲に迷惑をかけない程度のしつけをし、自分や家族を飼い主だと認識させ、最低限舐められない程度の上下関係を構築していればいいと考えているから。

仮に犬と一緒に寝ることで厳格な主従関係が構築できないとしても、犬が飼い主を下に見るような極端な事態にはなりません。

犬とどういったスタンスで付き合っていくか、それは十人十色です。

きっちりとした主従関係を求めているのであれば一緒に寝なければいいだけの話。私はそこまでのものを求めていませんし、一緒に寝ることによるお互いの幸せを痛感しているので、今後もやめるつもりはありません。

重要なのは犬と飼い主が一緒に寝ることによるリスクやデメリットを理解したうえでどう判断するか…ではないでしょうか。

飼い主が納得すれば一緒に寝ても問題ない

犬と人間が一緒に寝ることに否定的な意見は多く存在します。実際にマダニや犬回虫といったリスクも存在しますしね。

ただ、それでも私たち飼い主が愛犬と一緒に寝たいと考えているのであれば問題ないのではないでしょうか。何より犬だって飼い主と少しでも多くの時間触れあっていたいと考えるものですしね。

そもそもそれを言い出したら夫婦一緒に寝ることだって色々とデメリットがありますよ。いびきがうるさかったり口が臭かったり、寝返りで攻撃されたり風邪をうつされたり…

ひとりで寝ればこんなリスクやデメリットから解放されるというのに、それでも一緒に寝ている夫婦は多いですよね。そこには愛情や夫婦関係の維持・構築という感情や意識が存在しているはず。

犬と飼い主の関係も似たようなものなのではないでしょうか。そもそも損得勘定を優先させれば犬なんか飼わないのがベストのはず。犬を飼っている時点でもうすでに理屈ではないのです。

それでも規律を重んじたいのであれば主従関係や衛生面の徹底のためにも一緒に寝るのは避けたほうが無難。感情面を優先させたいのであれば一緒に寝ればよろしい。誰に強制されるものでもありません。

そんな結論で良いのではないでしょうか。

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