犬が飼い主に乗る理由は甘え?舐められてる?

犬が飼い主の上の乗る行動はやめさせるべき?

室内で犬を飼っていると膝やお腹、背中などの上に乗ってくることってありませんか?可愛らしい行動ですが、一方で飼い主を寝床にするような状況に「舐められてるのだろうか?」と感じることも。

実際犬が人間の上に乗ってくる行為に対し否定的な意見も存在します。犬が人間を下見ているからこそ上に乗ってくるのだと。

とはいえ自分の上で気持ちよさそうに寝ている愛犬の姿に癒されるのも確か。でも主従関係を崩すわけにもいかない…難しい問題ですよね。

しかしそもそも犬が人間の上に乗るのは人間を下見ているからなのか?それは止めさせるべき行為なのか?気になる愛犬の行動について深堀りしていきます。

犬が人間の上に乗る理由

家の中で犬と飼い主が一緒に生活をしているのであれば、よほどしっかりとしつけていない限り犬が人間の上に乗ってくる行動は日常茶飯事なのではないでしょうか。

実際、私もこれまで何匹かの犬を飼ってきましたが、乗ることをやめさせようと考えたことがなかった私の飼い犬はもれなく人間の上に乗るのが好きでした。つまり基本的に犬は人間の上に乗りたがる生き物といえます。

その理由はいくつか考えられ、一般的に有力視されているものや私の経験上の理由は以下のようになります。

甘えている

犬が飼い主の膝の上に乗ってくる理由として最も多いのは“甘え”でしょう。

ご飯をくれたり遊んでくれたり散歩に連れていったりしてくれる飼い主は犬にとってかけがえのない存在であり、「飼い主に触れあっていたい」と考えるのは自然なことなのです。

犬には当然ながら人間同士のように適度な距離感が良しとされる考えがないため、積極的に甘えてきても何ら不思議はありません。

寒い

普段は飼い主の膝の上に乗ってきたり体にくっ付いて寝ていたりする愛犬が、気温の上昇と共に離れるようになってきた…そう感じることはありませんか?

それもそのはず、基本的に犬は暑さに弱い生き物ですからね。

犬は人間より体温が高いとはいえ、常に36℃前後ある人間の体は非常に温かいもの。だから外気温が下がってくる秋以降になると犬は人間の体に乗ったり寄り添ったりすることが多くなります。

しかし気温が高くなる初夏以降になるとそういった機会がめっきり減るもの。なぜなら人間の体にくっついていると暑さにより生命の危険を感じるから。

暑いからくっつかない、寒いからくっつく…ある意味で本能に忠実。自分に素直な行動と言えるでしょう。

人間と一緒に寝るのが当たり前だと思っている

普段からケージやクレートをほとんど使わず部屋の中を自由に行動させている犬の場合、人間が寝る際も一緒というケースも多いことでしょう。そういった場合は犬が飼い主と一緒に寝るのは当たり前だと思っている可能性が。

普段から飼い主と犬が一緒に寝ていると、人間が横になるとすぐにお腹や背中に乗ってきたり股や腋の間に収まったりする、座ると膝上に乗ってくるなどの行動が当たり前になりがち。

それはさながら条件反射のように。

これは犬が人間と一緒に寝ることに対し幸せを感じていることの裏返し。言い方は悪いですが飼い主のことを「ご主人兼寝床」と感じているのでしょう。

自分の方が上だと思っている(マウンティング)

犬との上下関係にやたらと厳しい人や訓練士などと話していると耳にするのが「自分(犬)の方が人間より上だと思っているから乗ってくるんだ」という意見。

犬同士が優位性を示すために上に乗ろうとする“マウンティング”と、「膝の上に乗る」という行動を関連付けた発想なのでしょう。確かに人間の上に乗ってはいますが…

膝の上などに犬がいるときに飼い主が立とうとする、犬をどかそうとした際に唸るなど拒否の姿勢をあらわにする場合は飼い主を下に見ている可能性が高いといえるでしょう。

ただし、飼い主のことを対等もしくは下に見ている状況と犬が人間の上に乗ってくる行動が結びついていると考えるのはいささか短絡的と個人的には感じています。

なぜなら主従関係がしっかりと構築されていたとしても犬は飼い主に乗りたがるからです。

飼い主の上に乗るのは問題ないという考え方

犬が飼い主の上の乗っても問題ない

犬が人間の上に乗る…これを犬同士のマウンティングに結びつける専門家などが存在しますが、本当にそうなのでしょうか?

確かに犬は人間に対しマウンティングすることがあります。足にしがみついて腰を振るアレですね。近年は人間同士でもマウンティングする人が話題になっていますね。ママ友とか。

しかし犬のマウンティングの多くは飼い主より自分が上だとアピールするものではなく、遊びやコミュニケーションの一環として行う場合が多いことが分かっています。つまり必ずしも飼い主に対し優位性をアピールしているわけではないと。

とはいえ犬は自分より明らかに上の存在…例えば群れのリーダーなどに対しては絶対にマウンティングを行わないのも確か。飼い主に対してマウンティングを行うこということは自分より上の存在と認識していない可能性は否定できません。

しかしこれはあくまでもマウンティングの話。人間の上に乗ってくる行動とは切り離して考えるべきです。

人間の上に乗るのはマウンティングではない

「人間の膝の上などに乗ってくるのは飼い主を舐めているから」「優位性を示したいから」なんて意見もあるのは重々承知しています。

しかしよく考えてみてください。マウンティングと人間の上に乗ってくる行動、まったく違いますよね。腰を振ることもなければ何かにしがみついたりもしません。ただピョンと乗ってくるだけ。

飼い主の上で気持ちよさそうに寝ている犬。人間の赤ん坊や幼児が親に甘えてくる行動と何ら変わりないのです。

「飼い主の上に乗ってくる=マウンティング」なんて考えはあまりにも短絡的かつ偏った見方なのではないでしょうか。

ただし、犬を含め2匹以上の動物を飼っている場合は他の動物に「ここは俺(私)のポジションだ」と誇示している可能性は否定できません。人間の上に乗ることで他の動物に対し間接的にマウンティングする行為ですね。

犬の社会は基本的に上下関係をしっかりと構築すること、また人間に対し優位性をアピールしているわけではないことから、こういった行動を良しとするかどうかは飼い主の判断に委ねられます。

犬が飼い主に乗る行為はやめさせるべき?

犬が飼い主の上に乗る行為は飼い主のことを対等以下にしか見ていないから…そういった考えであれば犬が人間の上に乗ってくる行動はやめさせた方がいいでしょう。

犬が人間の上に乗ってきた場合はすぐに降ろす、再び乗ろうとしたら「ストップ」「ダメ」など制止する等を根気よく続けることで飼い主の上に乗る行動をやめさせることができます。

特にやめさせるべき状況は犬が飼い主に乗っている際に立ち上がろうとした、犬を降ろそうとした場合に唸ったりするケース。

こういった態度を取る犬には毅然とした対応をとる必要があります。主従関係の構築のためにも飼い主の上に乗せないことと並行して普段の生活を見直し、人間の方が主導権を握っていることをしっかりと示すべきでしょう。

多くの場合は止めさせる必要はない

ただしそれは犬が飼い主を舐めきっているケース。すでに主従関係や信頼関係がしっかりと構築されているのであれば、飼い主の上に乗ってくる行為を無理にやめさせる必要はありません。

普段の生活において食事や散歩、その他諸々の行動に対し飼い主が主導権を握っていれば犬が人間の上に乗ってきてもなんら問題はないのです。

犬が飼い主の上に乗る行為をやめさせた方がいいケースはあくまでも目に見えて人間を馬鹿にしている場合。そうでなければ無理に止めさせる必要はないと考えます。

犬が飼い主に乗っても大丈夫

犬に対するしつけの方法を調べていると、軍隊のように徹底した上下関係の構築がさも当然のように書いているものが多いことに驚かされます。

犬の社会は上下関係に厳しく、犬が飼い主を下だと判断すると色々と不都合が生じるのは確かに理解できます。だからといって「これはダメ」「あれもダメ」というのはいかがなものでしょうか。

私たちが犬に求めるのは主従関係の徹底ではなく、共に生活することによる癒しや愛情の授受と感じています。であるなら日常の生活に困らないレベルの主従関係と信頼性が構築できていれば問題ないはず。

そもそも犬が飼い主の上に乗る行動の多くは甘えたい、寒いからくっつきたいという欲求からきているもの。それを飼い主が「可愛い」と感じるのであれば、それはWIN-WINの関係なのではないでしょうか。

犬が上に乗った状態から人間が動こうとする際に唸ったり威嚇したりするようであれば問題ですが、そうでないのであれば特にやめさせる必要はありません。

もちろん、軍隊のような上下関係を求める人であればその限りではありませんが。

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