犬も花粉症になるの?その対策と治療法
2月くらいになるとやってくるスギ花粉。毎年これに悩まされている人も多いのではないでしょうか?しかし、時を同じくして愛犬もくしゃみをしたり鼻水が出たりしている…もしや犬も花粉症になるの?
そう、実は犬も花粉症になるのです。
ただし、スギ花粉によるくしゃみや鼻水といった症状が大半を占める人間とは少し状況が異なります。犬ならではの症状もあるのです。
犬の花粉症とは具体的にどういったもので、どういった対処法や治療法が存在するのでしょうか?
犬の花粉症の原因は?
花粉症といえばスギ。人間が悩まされている花粉症の中で最も多いのはスギ花粉であるのはよく知られた話ですよね。じゃあ犬の花粉症の原因もスギなのかというと、必ずしもそうではありません
犬の花粉症はスギやヒノキではなくブタクサやイネ科のものが多いという説が一般的。しかし犬がスギ花粉によって花粉症にならないかといわればそんなことはありません。
犬によって個体差は大きいものの、どの花粉にも反応する可能性があり、主な花粉と飛散する時期は下記の通り。
これを見ると1年中なんらかの花粉が飛んでいることが分かります。人間同様春の2~4月と秋の9月前後は特に注意したいところです。
犬の花粉症の症状
では具体的に犬の花粉症はどういった症状がみられるのでしょうか?主なものを挙げてみましょう。
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- 体のかゆみ
- 脱毛
ネットなどには犬の花粉症の場合くしゃみや鼻水といった人間と同様の症状はほとんど出ないという意見が散見されますが、そんなことはありません。
人間のようにくしゃみを連発する、鼻水がとめどなく出てくるといったことは稀ながら、鼻の奥で「ぶごぶご」と音がする、普段より鼻水の量が多いといったことは見られます。
ただ、犬は鼻水を舐めとってしまうことも多いため目立たないかもしれません。
皮膚症状に注意
植物の花粉がもたらす体の異常は「花粉症」という名前が使われていますが、花粉をアレルゲンとするれっきとしたアレルギー症状です。
そのためまぶたなどの粘膜に付着すると炎症や痒みを起こすことで知られ、特に目の周りはこういった症状が出やすい部位。目の周りが赤くなったり掻きむしったりしている場合は要注意。
また、犬の場合は粘膜以外の皮膚においても痒みが出るという特徴があります。必死になって掻きむしった結果毛が抜け落ちてしまうことも。
アトピー性皮膚炎を患っている犬は花粉症の症状を呈するケースも多いため、愛犬に皮膚の弱さを感じている場合は注意深く観察するようにしてください。
花粉症の対策は?
犬の花粉症の対策は花粉に触れさせないこと…であることは誰しもが理解していることでしょう。しかし無菌室でもない限りそれは不可能。散歩だってする必要がありますしね。
現実的には「花粉に触れさせる機会を減らす」「花粉の量を少なくする」といった対策になるでしょう。具体的な例を挙げていきます。
散歩時に服を着せる
犬の運動不足解消やストレス解消に散歩は欠かせません。毎日行っているという飼い主さんも多いことでしょう。
しかし外を歩かせる散歩はもっとも花粉に触れやすい状況でもあります。体に付着する花粉を少しでも減らすという意味で愛犬に服を着せるというのは有効な手段になります。
ただし、犬の服は体を被う部分が少ないうえに、もっとも症状が現れやすい目や鼻、口などの粘膜を保護することはできないため過信は禁物。
散歩の時間帯に気をつける
スギやヒノキの花粉の場合、飛散のピークは昼すぎ頃になります。また、舞い上がった花粉が再び降下する夕方も花粉症が出やすい時間帯であるため、これらの時間帯に散歩をするのは避けたいところ。
理想的なのは朝になるでしょうか。
とはいえ朝は忙しいという人も多いでしょうから、花粉が多い時期だけ朝の散歩を心がけ、それ以外は夕方に行うのが現実的か。
散歩後は体を拭く
服を着せたり時間帯に気を付けたりしても外を歩く以上花粉を完全に防ぐことはできません。そのため花粉症の症状がある場合は散歩の後に軽く絞ったタオルなどで体を拭いてあげましょう。
ただし、部屋の中でそれを行うと花粉を持ち込む原因になってしまいますので、可能であれば玄関先、それが無理であれば玄関の中で行うようにしましょう。
同様の理由で散歩中に着せていた服は外で脱がせ、はたいて花粉を落としてから部屋の中に持ち込むようにするといいでしょう。
雨の次の日の散歩は避ける
雨の日というのは花粉が雨粒に取り込まれたり湿気を吸ったりして地面に落ちます。そのため雨の日は花粉症が楽になる傾向にあるのですが、問題はその翌日。
雨によって地面に落ちた花粉と、新たに飛んできた花粉が合わさり飛散量が非常に多くなります。人間より地面に近いところに顔がある犬であればなおさら影響を受ける可能性も。
毎日散歩をしている場合は1日でも散歩を欠かすのは心苦しいかもしれませんが、花粉症が酷いようであれば花粉が飛散する時期の雨の翌日の散歩は避けたほうがいいという判断もできます。
このあたりは愛犬の花粉症の程度と“どのくらい散歩が好きなのか”によって判断が異なります。散歩に行けないストレス、花粉症のストレスを程度を見極め適切な判断をおこなってください。
空気清浄機を利用する
家の中で空気清浄機を使用するというのも犬の花粉症を防ぐ有効な手段。
空気清浄機は室内の空気を吸引し、フィルターでタバコの有害物質や花粉、ハウスダストなどを除去、きれいな空気を吐き出すという仕組み。そのため花粉症に悩まされている人の必須アイテム。もちろん犬にも有効です。
花粉症対策として空気清浄機を用いる場合、最も有効な設置場所は玄関とされます。ただし、玄関において空気清浄機の機能が活かされるのは人間が帰宅した時と、玄関を開けた時。そう、極めて短時間なのです。
そのため、できるだけ強力な清浄器を設置し、帰宅時などに起動し一気に花粉を吸い取りたいところ。人感センサーがある機種であればなお良いでしょう。
可能であればリビングにも空気清浄機が一台欲しいところ。玄関で大半の花粉を除去し、リビングで残った花粉を一網打尽にすることで愛犬や人間の花粉症を軽減することができるでしょう。
こまめに掃除をする
空気清浄器を設置してもかふんを100%除去するのは事実上不可能であり、かつこういった機械が効果を発揮するのは花粉が空気中を舞っている時のみ。床に落ちている花粉というのは空気清浄機で吸い取ることはできません。
床に落ちた花粉を除去するにはこまめな掃除が必要になります。掃除機をかけるのはもちろん、雑巾やお掃除シートを用い拭き掃除するのが最も効果的。
犬は人間に比べ床に近いとこで生活してることからも、愛犬の花粉症を防ぐにはこまめな掃除を心がけることが重要になります。
犬の花粉症に治療薬は?
花粉症への対策は数あれど、それはあくまでも「花粉を避ける」という性質のもの。可能であれば根本から治したいところですよね。人間であればアレグラなどの花粉症治療薬が存在しますが、犬の花粉症に治療薬は存在するのでしょうか?
結論から言えば治療薬は存在します。
しかしそれは人間の治療薬と同様に対症療法。根本から治療するものではありません。それでも愛犬の辛さを緩和できるなら利用したいと考える人もいるでしょう。
具体的な治療薬は大きく「抗ヒスタミン薬」と「ステロイド」。そして痒みが酷い場合においてはアトピー性皮膚炎の治療に使われるアポキル錠も視野に入ります。
犬の花粉症に抗ヒスタミン薬
アレルギー症状を引き起こす物質として代表的なものにヒスタミンがあります。これが過剰に反応するとアレルギー症状を呈するのです。このヒスタミンの過剰反応を抑えるのが抗ヒスタミン薬。人間の花粉症治療薬もこれに該当します。
ただし、人間に対して使用される薬はアレグラやザイザルなどの第二世代の抗ヒスタミン薬なのに対し、犬はこれらを使用することはできません。間違っても人間に処方されたアレグラなどを飲ませてはいけません。
犬に投与する抗ヒスタミン薬は第一世代のものになり、有効率はそれほど高くないという欠点があります。ただし価格が安く副作用も軽いため“ダメ元”で使用してみるという選択肢も。
ステロイド
抗ヒスタミン薬が効かない場合はステロイドが選択肢に入ってくるでしょう。ステロイドは免疫力を抑制し炎症やかゆみを抑える作用が、アトピー性皮膚炎などにもよく用いられます。
とはいえステロイドは副作用が懸念される薬。花粉症が軽度であればあまり飲ませたくないところ。またはごく少量に留めるか。花粉症が酷い場合はプレドニゾロンあたりが処方されるでしょう。
価格はこちらも非常に安価。
アポキル錠
犬のアトピー性皮膚炎に治療に使用されるアポキル錠ですが、花粉症により痒みが酷い場合には使用されることも。
アトピー性皮膚炎などアレルギー症状による炎症などは強い痒みにより体をかきむしってしまうため悪化し、さらに痒くなる…という悪循環を辿ります。アポキル錠はそんなかゆみを抑えることのみに特化した薬。
ステロイドのような副作用はほとんどなく、かつ効率的に皮膚疾患を改善できるため「革命的な薬」と評されるほど。こちらも対症療法ではありますが、犬への負担の少なさは他の追随を許しません。
ただし価格は高い…それが唯一のネック。花粉による痒みが強く、かつ愛犬のことを第一に考えるなら選択肢に入れるべき薬。
犬の花粉症のまとめ
花粉症といえば人間のものと思っている人も多いと思いますが、実際は犬も発症し、場合によっては重大な皮膚症状を引き起こします。
しかし、人間のように劇的な改善を示す花粉症の薬というものは存在しません。アレグラは飲めないし、ステロイドの副作用は気になるところ。
そのため可能な限り愛犬を花粉に触れさせないことが重要になります。あまりに症状がひどい場合は散歩を控えたり空気清浄機を使用したりといった対応も考える必要があるでしょう。
とはいえ、体のかゆみが顕著である場合やアトピー性皮膚炎を持っている場合には薬による治療を考えたほうがいいでしょう。その際に使用するべき治療薬はステロイドかアポキル錠あたり。
人間のように「辛い」と口に出せないだけに犬の花粉症は見過ごされがち。花粉が多い春や秋は愛犬の状態にも気を配るようにしてください。
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