ドッグフードに使用される着色料の危険性

ドッグフードの着色料の危険性

赤や黄色、緑…色鮮やかとまではいかないものの、複数の色によって彩られたドッグフードはなんとなく美味しそうに見えるもの。しかしここでひとつ疑問が。それって何の色?

ドッグフードは肉類や穀物、油脂が主な成分であり、どう考えても鮮やかな色が付くとは思えない。ましてや同じ材料を使っている一つの商品の中に複数の色が存在するなど不自然ですよね。

そんなドッグフードの色の正体は着色料。成分的に本来であれば茶色系にならざるを得ないものに着色料を用いて色を付けているのです。

なぜこんなことをする必要があるのでしょうか?そもそも着色料は健康に悪そう…気になるドッグフードの着色料について詳しく解説していきます。

    目次
  1. ドッグフードに使われる着色料の種類と危険性
    1. 赤色3号
    2. 赤色102号
    3. 赤色106号
    4. 黄色4号
    5. 黄色5号
    6. 青色1号
    7. 青色2号
    8. 二酸化チタン
  2. ドッグフードに着色料が使われる理由
  3. 着色料を使用するドッグフードの特徴
  4. 着色料が使われるドッグフードはどれ?
  5. 着色料は危険なのか?
  6. ドッグフードの着色料のまとめ

ドッグフードに使われる着色料の種類と危険性

ドッグフードに使われることもある着色料にはどんな種類があり、どういった特徴・危険性があるのでしょうか?

一般的に売られているドッグフードに使用されている着色料は以下の通り。

  • 赤色3号
  • 赤色102号
  • 赤色106号
  • 黄色4号
  • 黄色5号
  • 青色1号
  • 青色2号
  • 二酸化チタン

二酸化チタン以外の「〇色〇号」という着色料はすべてタールが原料の「合成色素」と呼ばれるもので、いずれも危険性を確認・指摘されています。具体的にどういったものなのか解説してみましょう。

赤色3号

赤色3号は「エリスロシン」とも呼ばれる合成着色料。

日本においてはドッグフードなどのペット関連商品の他、人間が口にするお菓子や魚介類の加工品、漬物などに使用されています。

ラットに大量摂取させた試験において甲状腺や染色体に異常が確認されており、発がん性も疑われることからアメリカやドイツ、ポーランドで使用が禁止されています。

赤色102号

赤色102号(別名:ニューコクシン)は赤色3号と同じく菓子類やソーセージ、漬物に使用されることがあるタール系の合成着色料。

赤色102号は子供が合成保存料として使用される安息香酸ナトリウムと同時摂取することで注意欠陥や多動性障害の発症に関わる可能性があるとされ、アメリカやカナダ、ベルギーといった欧米諸国で食品への使用が禁じられています。

赤色106号

赤色106号は「アシッドレッド」と呼ばれる着色料。

日本においては魚介類の加工品やお菓子などに広くしようされている一方、発がん性などの危険性などから諸外国で食品に対する赤色106号の使用を認めいてる国はひとつとして存在しません。

他国がNOを突き付けている着色料を日本では今も使い続けているのです。

黄色4号

黄色4号(タートラジン)は最も多く使用される着色料のひとつで、日本のみならずアメリカやヨーロッパなどで広く使用されている食品添加物。

赤色102号や黄色5号と同様に子供の注意欠陥や多動性障害の発症に関わる可能性があるため、イギリスでは自主規制の対象に。

黄色5号

黄色5号(サンセットイエローFCF)は発がん性などの毒性が確認されていないことから黄色4号同様多くの国々で様々な食品に使用されています。

ただしイギリスにおいては赤色102号や黄色4号と同様に子供の注意欠陥や多動性障害に影響を与える可能性があるとして自主規制の対象に。

青色1号

青色1号の別名は「ブリリアントブルーFCF」。日本やアメリカでは食品への使用が認められているのに対し、フランスやドイツ、スウェーデンなどEUの一部の国では食品への使用が禁止されています。

タール系色素にありがちな人間に対する発がん性は試験によって確認されていないものの、ラットに対する皮下注射では発がん性を確認。それもあってか青色1号の食品への使用を認めている国は49ヵ国中12ヵ国と少ない。

青色2号

青色の色素としては最も使用している国が多い青色2号(インジゴカルミン)。日本においては洋菓子や和菓子に多用されています。

インジゴカルミンは内視鏡による検査の際に凹凸を強調するための色素として使用されるなど、比較的安全なタール系色素という位置付けに。

二酸化チタン

二酸化チタンは着色料としてドッグフードの使用されることがあります。ちなみにタール系色素ではありません。

タール系色素と違い白色の着色料である二酸化チタンは食品の色を隠したり、色を付ける際の下地として用いられたりします。

ただし二酸化チタンの有害性は枚挙にいとまがなく、がんやアルツハイマー病、不妊の原因になると考えられています。そのためフランスでは2020年より使用を禁止する予定になっています。

ドッグフードに着色料が使われる理由

ドッグフードに着色料が使用される理由

ドッグフードに使用される着色料の多くはタール系色素。つまり原料は石油や石炭ということになります。いかにも体に悪そうな印象を受けますよね。実際発がん性などの有害性が指摘されているわけですし。

にもかかわらずこれを使用したドッグフードというのは一定数存在します。それはなぜだと思いますか?

理由は簡単、美味しそうに見せるため。それも犬に対してではなく飼い主である人間に対して、です。変な話ですよね。

犬は人間のように様々な色を見分けるほどの色覚を持ち合わせていません。犬が見えている世界は青や黄色、グレーなどが中心とされているのです。

その代わりに犬には優れた嗅覚が備わっており、食べ物が美味しそうかどうかの判断は見た目より匂いによっておこなっていると思って間違いないでしょう。つまりドッグフードの色など犬にとって意味を成さないのです。

しかし赤や黄色、緑に色付けされたドッグフードは多く存在しますよね。これは飼い主に対するアピール以外の何ものでもありません。ドッグフードを買うのも与えるのも飼い主の役目ですからね。

人間に食べてもらうために着色するというのであればまだしも、飼い主に選んでもらうために色に興味がない犬の食べ物を着色するというのは違和感を覚えます。

それが危険性を指摘されている着色料であればなおさら。

着色料を使用するドッグフードの特徴

着色料が使われるドッグフードというのはある程度の特徴があります。それは安価なものに集中しているという点。

企業にとって着色料を購入し投入するというのはコストであるにもかかわらず、これらを使用しているドッグフードはペディグリーや愛犬元気など、どこでも手に入るような安価なものに集中しているのです。

一方、ある程度の価格帯のドッグフードになると着色料を使用しているものはほとんど見当たらなくなります。6~8kgの大袋が2,000円を超えるあたりが目安になるでしょうか。

ドッグフードは高価になればなるほど質や安全性を重視する傾向にあるため、見た目の鮮やかさより着色料を使用しないことによる安全性をアピールする狙いがあると考えられます。

高価なドッグフードほど無骨な茶色を呈している。裏を返せば安物ほど色でごまかす傾向にあるということになるでしょうか。

着色料が使われるドッグフードはどれ?

合成着色料使われるドッグフード

では実際にタール系や二酸化チタンといった危険性が疑われる着色料を使用したドッグフードを紹介していきましょう。使用している着色料も明記するのでドッグフード選びの参考にしていただけたら幸いです。

商品 赤色3号 赤色102号 赤色106号 黄色4号 黄色5号 青色1号 青色2号 二酸化チタン
銀のさら × × ×
ゲインズパックン × × ×
ベストバランス × ×
グラン・デリ(※) × × ×
愛犬元気 × × ×
コンボ × ×
ビタワン ふっくら系 × × ×
ごん太のふっくらソフト × × ×
ランミール × × × × ×
ペディグリー × × ×
家族のごはん × × × × ×
※グラン・デリは赤色40号も使用  

この表ではドライフードに限ったものを私が調べられる限り掲載しています。

この中で特に目立つのはユニ・チャームが販売しているドッグフード。銀のさらやゲインズパックン、ベストバランス、グラン・デリ、愛犬元気の5種がそれにあたります。

どのブランドにも5~6種のタール系着色料が使用されており、愛犬元気以外は二酸化チタンも積極的に使う徹底ぶり。添加物に興味がない飼い主へのアピールこそが正義といった印象を受けます。

ユニ・チャームの商品に限らずこの表に載っているものはすべて安価なものであることが分かると思います。ホームセンターなどでもよく見かける商品ですね。

原材料を見ればこういったタール系色素の着色料を使っているかどうかは一目瞭然なので、気になる人は必ず原材料を確認するようにしてください。

着色料は危険なのか?

ここまで「着色料は望ましくないもの」として扱ってきましたが、現実問題として着色料は本当に危険なのでしょうか?

というのも、ドッグフードに使用されている着色料はすべて人間の食品にも使用が認められているもの。つまり少量であれば安全性に問題がないと考えられているものばかりなのです。

タール系色素の多くは発がん性が疑われるという記述が多く見受けられます。しかしそのほとんどはラットやマウスに対し極めて高用量の着色料を投与した場合のもの。基準値の数百倍~数千倍といったレベルです。

着色料の動物実験は犬に対しても行われており、異常が見つかったというものはほとんど存在しない事実もあります。基準の中で使用されている状況であれば危険性はほとんどないと考えて差し支えないと考えます。

とはいえ入っていないに越したことはないのも事実。

例えば着色料と同様に危険性や有害性が指摘されている酸化防止剤や保存料。飼い主によってはこれらを忌避する人もいますが、酸化防止剤はドッグフードの変質を防ぎ長期間にわたって安全に使用するうえで必要な存在。つまり必要悪なのです。

一方着色料はどうでしょう?色によって美味しさを認識しない犬にとってこれほど無意味なものはありません。飼い主に買ってもらうことで利益を上げたい…これだけの目的で使用されているに過ぎませんよね。

ドッグフードに使用される微量の着色料を摂取したとしても数日で体外に排出されます。がんなどの健康障害が発生する可能性は極めて低いでしょう。だからといって100%安全と言い切ることはできません。

まして飼い主へのアピールのためだけに使用されている着色料。愛犬のことを思えばこそ「避けたい」と考えるのは十分理解できます。

ドッグフードの着色料のまとめ

安価なドッグフードに使用される傾向にある着色料。タール系色素は発がん性やアレルギーが疑われるなど健康への悪影響が気になるためできる限り避けたいと考える飼い主さんも多いことでしょう。

幸い着色料を使用するドッグフードというのは限られます。愛犬のことを考え比較的高価なフードを与えているのであれば着色料の心配をする必要はないといえるでしょう。

ただし、おやつなどに使用している可能性もありますので、どうしても着色料を摂取させたくない場合はおやつの原材料まで気を配る必要があります。

一方、これまで着色料を気にしてこなかった人に関しては、これからもあまり気にする必要はないと考えます。

ドッグフードや犬にとってなんの必要性も必然性もない着色料ながら、少量を口にする程度で健康被害が出る可能性は極めて低いからです。

人間の食べ物に使用される添加物に対しまったく気にも留めない人が大多数である一方、一部には過剰に反応する人がいるのと同様。気にしなければなんてことはない問題でもあるのです。

使用していないに越したことはないが、使用していたとしても特に問題ならない…そんな表現がぴったり。

とはいえタール系色素の着色料に100%害がないとは言い切れないため、4Dミートを含め愛犬の食事内容を気にする人は自然派のプレミアムドッグフードを与えるべき。出費を考えなければそれがベストなのは間違いないでしょう。

犬が食べるものを決めるのは飼い主です。価格を重視するのか、原材料を重視するのか、後々になって後悔しないドッグフード選びを心がけたいところです。

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